いろいろ本気出して(ないけど)考えてみた
事の顛末はしくじりいぬきに書いた通りで四月に入院するわけだが、入院するのは実に二十五年ぶり。数字にすると恐ろしい、いつの間にこんなに年をとってしまったのか…!
それはさておき、幼少の頃私は入院のプロだった。川崎病で長く入院したのを皮切りに、肺炎、マイコプラズマ肺炎と入退院を繰り返してきた。そこから嘘のように元気になった私は川崎病の経過観察のためにそこそこ病院に通い、その途中に盲腸の手術で入院することになる。これが最後の入院である。
入院のプロなどと見栄を切ったが、実際に入院ちゅうの着替えやら何やらをあれこれすべてやってくれたのは母であり、私はただ患者ライフを送っていただけである。
今回、ひとり立ちしてから初の入院になるわけで、なんていうか、「どうしよう」の一言なのだ。
もう子どもじゃない。結婚すらしている。
着替えは、たぶん病院で借りた方がいい。病衣みたいなやつ。余計な出費になるけど夫に洗濯を頼むのも気が引ける。母に頼めばしてもらえるだろうけど、そこまでお願いするのも申し訳ない。しかもそんなにパジャマ持ってないし。いや、中身よ! さすがに下着は借りられない! 七日分? 七日分の下着?! マジかー…。むしろ手術に生理かぶったらどうしよう…手術後はしばらくバルーンカテーテル入れられて寝っぱなしなのに…。あー、それに入院ちゅうってやっぱりパジャマで一日過ごしててもいいものなの? むしろずっとスッピン?! 私はいいけどお見舞い来られた時気まずくない?! と、よく分からない疑問が止まらない。
部屋は周囲のすすめで個室にすることにしている。個室贅沢じゃないかなー、多床室なら同じ境遇の女性と喋ったりできないかなーと思っていたら、ナースに「ないない。おばあちゃんと同室とか普通にある」「消灯早いからテレビもスマホも気を使うよ」と言われて、なるほどならば個室だと考えを改めた。
か、…金なら…あるんや!
あとは、七日ほど一人暮らし状態の夫のこと。私は常日頃から「子どもじゃないんだから」を武器に、自分が遊びに行く時や夜勤の時の彼の晩ご飯を用意していない。
だって子どもじゃないんだから!
一人前の大人の男よ? お金も持ってるし自分の食べるものくらい用意できるでしょうよ。
しかしだ。
彼は自炊という言葉と無縁である。晩ご飯がない時はインスタントラーメンや袋ラーメンで済ませていることを私は知っている。それが一週間も続くのはさすがに可哀想な気がするのだ。しかもその間私は上げ膳据え膳(病院食)の身分。
まあ、ほか弁とか、コンビニ弁当とか、いろいろあるから、大丈夫か! 外食という手もある。だって 子どもじゃないんだもん! 入院するまでずいぶん猶予があるから、それまでにちょっとしたものを作れるようになってもらうという手もあるし。
などなど、たまに考えながら普通に過ごしている。
卵巣嚢腫で片方の卵巣を手術するわけだけど、大丈夫なところは残すと言われているし、驚くほど楽観的な自分がいる。
だって、これ治ったら、頻尿も解決、ホルモンバランスからくる顎ラインのニキビも解決。病院食でちょっとは健康的に体重が落ちるかも!
それに、そのうち子どももなんとかなるだろう。
しくじりいぬきで書いた通り、「できなくてもいいや。できたら嬉しいけど。できなくてもいい。夫と二人で面白おかしく生きていこう。子どもができたら三人で楽しく生きていこう」とすっぱり割り切れるようになったから、ものすごく心が軽い。驚くくらいスッキリしている。えーびばでぃごーごーすっきりー!とか歌いだせそうなくらいスッキリしている。
これまでは周りの相次ぐ妊娠・出産ラッシュ、親の期待、自分の期待、年齢、そういうもので焦っていないつもりでも、どこかで焦っていたのだと思う。
「子どもをもつ、もたない」は当人たちの自由だし、そもそも授かりものだし、って思ってはいても、不正出血を着床出血かもと思ったり、生理が来たら「あーあ」ってちょっとガッカリしたり、自分の勝手な期待がストレスになったりしていた。
だから排卵日検査薬も使う気になったのだし、婦人科に受診する気にもなったんだけど。
紹介された病院に行くまでは一時落ち込んで、妊娠している友だちがむしょーーーーーに羨ましくなったこともあった。
いいなあ…幸せだよねえ…いいなあ〜! 私もそうなりたいな〜! …とかさ。
ほんとおバカさん!!!!!!
妊娠してるから、幸せそうに見えるから、そのひとが幸せなんて分からない。幸せならそれに越したことはないけど。それは私の思い込みだ。他人の幸せは他人だけが決められる。私の幸せは私だけが決める。比べるなんて野暮で無粋で不毛だ。
よそはよそ、うちはうち。
いいじゃんね、私は私で子どもがいなくても夫と結婚した今すごく幸せで、これからも一緒に幸せでいたくて、それでいいじゃんね。
というわけで、今はもう大丈夫! です!
それが一番良い解決をみたなあと思っていることだったりする。
手術まで一ヶ月と少し、体調管理(熱発したら手術延期とかあるって聞いた)とぼちぼち準備していこうと思う。