犬に似てる

「待て」はしないが「お手」はする。

セックスのことはそれほど

私はツイッターのアカウントを4つ持っている。
一つめ、大昔に作ったアカウントで、たぶんリア垢に分類される。しかし最終ツイートが2013年7月4日。消していいかもしれない。
二つめ、腐った女子であるので、そういうアカウント。結婚してからこっち、ツイートがめっきり減っている。とてつもなくTLの流れが速く追い切れない。アニメの感想リアタイとかされるから。
三つめ、ダイエット記録アカウントのために作った。消していいかもしれない(お察し)。
四つめ、心機一転、言いたいことを言うために作ったアカウント。このブログの存在を知っているのは間違いなくこのTLのみなさん。
四つめのアカウントは居心地がいい。会ったことがないひとばかりだけど、友だちが思い思いにぺらぺらしゃべっているのをふむふむと聞いているような楽しさがある。
あれ、きょうはあの子がいないな、最近あのひとツイしてないな、さみしいな、元気かな、忙しいのかな、と思ったりするから、勝手に友だちのような気持ちになるのだろう。
そして、この四つめのアカウントで驚いたことがある。

みんなセックスめっちゃ好きやん! ということ。

特に女の子な、女性な、そこのあなたな。

なんというか、セックスの話って、タブーなところがあるでしょう。思いっきりプライベートなことだし、性的なことは「いやらしい」から隠されることが多いし。
でも、四つめのアカウントのTLはそういう話があふれている。
すごくあけすけなツイートも見るし、ほのかに香らせるだけのツイートもある。
もちろんセックスだけであふれているTLではないが、ひときわ輝くこの単語。中学生か。
余談だが、四つめのアカウントを作った時はそこまで「セックスしたい」と日常的に思ってはいなかった。
むしろ「あー、次のデートでまたセックスするのかな」「忘れないようにお手入れしないと…めんどくさいな!」「あんまりセックスばっかりするのもなあ…」などと思っていた。
本当だ。
彼氏に対して「なんでそんなにセックスしたいんだ?!」と思っていた。
それが今やTLの「セックスしたい」ツイに「わかる」と力強く頷いてしまう。
明らかにTLの影響を受けている。
あ、そういうこと言っていいんだみんなそうなんだ、へえー、えっなにそれいいなぁ、なあなあそういう時ってどうしてるの、だとか、話しかけたい。


実際に友だちとも喋りたい。


でも、できない、んだよなー!

やっぱり恥ずかしさが先に立つ。現に私は仲のいい友人たちと「普段のセックスについて」話したことがない。
どんな風にはじまるかとか、夜するか朝するかとか、そういうソフトなことについてもだ。
「うちは平日は無理って話してるよー、冬は寒いから絶対できない」と言われて「そうなんやー、うちは平日休日あんまり関係ないかなー。寒いっていうのもないし」と返した、その程度。
特にその子は私の親友で、同じく既婚者。結婚する前からお互いの彼氏も合わせて仲良くしており、突っ込んだ話をしてしまったら気まずくなるかな、と考えてしまったのも理由のひとつ。
結婚前、その四人で旅行に行った時、私は親友に聞きたくて、でもどうしても聞けなかったことがある。
宿泊先のビジネスホテルでは二部屋に分かれた。
晩御飯は地元の居酒屋で。カツオのたたきに舌鼓を打った。とにかくおいしかった。お酒を飲んでいないのは私だけだった。
食べたあと、別行動しようかという話になった。「帰ってきたらうちの部屋に来て! 四人で飲も!」と親友さんは言い、彼氏と商店街の散策に出かけた。
私と彼氏(今の夫)が取った行動は、散策などせずホテルに直帰。
親友さんの言葉は完全に社交辞令と受け取っていたので、なんというか、当然ながらセックスした。親友さんたちの部屋には行かなかった。
当時、お互いに実家暮らしだった私たちにとって「お泊りイコールセックスチャンス」だったのだ。
宿泊地までのドライブ、観光、おいしい料理、ぜんぶ旅行の醍醐味だ。当然、めちゃくちゃ楽しい。全力で楽しむ。
でも、言ってしまえばそれらすべて前戯。ベッドに入ってからが本番。
そういうわけで、メインディッシュを逃すわけにはいかなかったのだ。
そして翌日、何時に朝ごはんね、とも決めていなかったので、朝からセックスしていた。ひとだんらくしたところで「朝の散歩行ってるとこ! もうちょっとしたら部屋に迎えに行くから朝ごはん食べに行こう」とラインがきた。
それならと着替えたものの、来ない。まだ来ない。
まだもやっとしたいやらしい空気を残していたので、そっちに流れるのはすぐだった。
ただ、今回は時間に制約がある。
指でなかをいじられ、あんあん言わされ、「もー何すんの。いつ来るかわからへんのに!」「ごめんごめん」なんていちゃいちゃしていると呼び鈴が鳴ったので、文字通り私たちは飛び上がった。
セックスしてました、とバレるのは恥ずかしい。
いや、どうせそっちも夜はしてたんでしょ、と思ってはいるが恥ずかしい。
「お、おはよ~」と言う私は不自然な笑顔になっており、親友さんには「何笑ってんの?」と言われ、彼氏には自然にしろとばかりお尻を叩かれた。
朝食バイキングで卵焼きを取りながら、私は親友さんに「昨日の夜何してた?」と聞いた。行けなくてごめんな、と前置いて。
「何って、おつまみ買ってきたから飲み直したよ。そんで寝た」
思わず、それだけ?! 寝ただけ?! と聞くところだった。
えっちした~? と聞きたかった。
でも聞けなかった。でも心底聞きたかった。今からでも聞きたいくらいである。聞けないけど。

それはまさに親しき仲にも礼儀あり(?)

もちろんツイッター上に礼儀がないわけではない。
顔が見えない、声も聞こえない、文字だけのツイッターだからこそ感情が伝わりにくいと思うので、リプする時は割と神経を使ったりする。
距離が近いかな、仲良しって思ってもいいかな、と思うフォロワーさんには軽くリプしちゃうけど。

話がそれた。

とにかく、セックスの話だ。
セックスについてのツイートの多いこと!
セックスしたいのツイートの多いこと!
それだけ日常的に、実際にセックスについて話したいけれど話せないひとが多いってことじゃないのか。
ぶしつけに無遠慮に下世話に話したいわけじゃない。そういう話題じゃない。
でも、普通に、他愛ない話をするみたいに、セックスの話がしたいのだ。
なんでかって言われると、私に関しては、たぶん好きだから。好きなことについてって話したいもん。
話題にしたいもん。「あのドラマ観た?」「今週のジャンプ読んだ?」みたいに。
そんで、「今週の展開アツかったなー!」とか「あのセリフ最高じゃなかった?!」とか、具体的にわいわいきゃっきゃしたい。
したい、と言っているうちはできない、とどこかで聞いた気がする。
でもいつか、この四つめのアカウントのフォロワーさんと会うことができたら、絶対にセックスの話をしてやるんだから。
「で、最近どうなの?」「えー、そっちは?」とか、いちゃいちゃひそひそ話したい。
もちろん、それ以外の、他愛ない話も。
何しろよく知っている気になっているのに会ったことがないのだから、聞きたいこと知りたいこと話したいことがたくさんある。
きっと、いつものざわついたTLを追うみたいに、友だちのおしゃべりに耳を傾けるみたいに、自然にわいわいきゃっきゃできる気がする。

あと、「旅行先では絶対セックスするよね?!」「むしろセックスするために旅行するのでは?!」と暴論を振りかざし「エロ旅行だ~!」と盛り上がりたい。